英語を学ぶ上で非常に重要になってくるのが、イメージを持つことです。
単語や文法にはあるイメージがあって、ネイティブはそのイメージで英語を使っています。
すなわち、イメージが正しく描ければ、ネイティブ感覚に近づくことができるわけです。
当ブログではこのイメージのことを”英語の核”と呼ぶようにします。
ここでは、英語の核が掴めるように、わかりやすく解説していきたいと思います。
ネイティブのイメージに近づけれるように頑張っていきましょう!
今回は、前置詞 on について解説します。
前置詞 on の核 :「〜の上」だけではない
前置詞 on って「〜の上に」じゃないの?と思われる方もいらっしゃると思いますが、実はそれでは不十分です。
例えば、以下の英語を訳してみましょう。
1. There is a book on the desk. 「机の上に本がある。」
2. There is a clock on the wall. 「壁の上に時計がある。」(?)
3. There is a fly on the ceiling. 「天井の上にハエがいる。」(?)
on をすべて「〜の上に」と訳すと変な日本語になりますよね。
2. や 3. は「〜の上」ではなくて「〜に」の方がしっくりきますよね。
そうなのです。on は上という場所を指しているのではありません。
では、これらに共通する前置詞 on の核とはどういうイメージなのでしょうか。
on の核となるイメージ、それは「接触」です。
on = 「接触」
「接触」の on
on = 「接触」とはどういうことなのか。わかりやすく、図で示すとこのようになります。
①〜③に共通しているのは、赤いボールと箱とが接しているということです。このイメージを元に、先の例文を見てみると、
1. There is a book on the desk. →図①のイメージ→「机の上に本がある。」
2. There is a clock on the wall. →図②のイメージ →「壁に時計が掛かっている。」
3. There is a fly on the ceiling. →図③のイメージ→「天井にハエがいる。」
どうでしょうか。このイメージを持っていると日本語も違和感なく訳せますよね。
対象物が何かに接触している状態を表すのが on なのです。
実はこの、on =「接触」というイメージは超超有名で、いろんな本やサイトなどに載っています。
最近では、スタディサプリのCMでも関先生が仰っておりました。(15秒のCMでそれを伝えられる先生はやはりスゴいですね)
さて、on =「接触」が理解できたところで、そこからさらにイメージを膨らましていきましょう。
「接触」から「面・固定・連続性」へ
面接触
さて、続いて以下の例を見て見ましょう。
4. The restaurant is on your right. 「レストランは右側にあります。」
5. I'm having a meeting on Friday. 「私は金曜日に会議があります。」
6. He went to America on business. 「彼は仕事でアメリカへ行った。」
これらの文中の on の用法も、接触のイメージから膨らませることで理解できます。
接触には点で接している状態の他にも、面で接している状態もあります。
むしろほとんどの接触は面接触でしょう。机の上の本も、本と机の面で接しています。
では例文 4. はどうでしょうか。まだちょっと分かりにくいですよね?
下のイメージ図を見るとどうでしょうか。
ここでは、視界を大きく右側と左側に分けています。そしてレストランは右側に位置するわけです。
つまり、道や街を大きく面で捉えて、建物がその面に建っているイメージです。
この面で捉えるということが分かる例文を他にも挙げてみましょう。
4-1. I was on a train at that time. 「私はその時、電車に乗っていました。」
(電車の床面に乗っているイメージ)
4-2. He lives on the river. 「彼は川沿いに住んでいる。」
(川が流れている面(線)に接しているイメージ)
固定・連続性
さて、この接している状態ですが、電気の on・offのように接する・離れるを繰り返す場合もあれば、ずっと接した状態のものもありますよね。
そこから、「固定」や「連続性」というイメージがでてきます。
図で表現すると、下のような感じでしょうか。
このイメージを元に、先の例文 5. と 6. を見てみましょう。
5. I'm having a meeting on Friday. 「私は金曜日に会議があります。」
6. He went to America on business. 「彼は仕事でアメリカへ行った。」
5. はカレンダーを思い浮かべて、そこにすでに決まった予定が固定されている感じでしょうか。
また 6. はアメリカで仕事をしている状態がずっと続いているイメージです。
他にも例文を挙げてみましょう。
5-1. I saw him on October 1st. 「私は10月1日に彼と会いました。」
(カレンダーのイメージ)
5-2. He came on time for the meeting. 「彼は会議の時間ちょうどに来た。」
(ある決まった時間にぴったり合わせるイメージ)
6-1. I'm on my way home. 「私は家に帰っている途中です。」
(家への道がずっと続いていて、その途中にいるイメージ)
6-2. On getting home, I went to bed. 「家に帰るとすぐに、ベッドに向かいました。」
(家に帰る動作とベッドに向かう動作が途切れなく連続しているイメージ)
さてどうでしょう。だんだんと on のイメージが掴めてきたでしょうか。
これで終わりと言いたいのですが、まだありますよ〜。
今度はより抽象的にイメージを膨らましていきましょう。
接する状態から「関係する・依存する」状態へ
あるものとあるものが密接している場合、お互いに影響を及ぼしあう状態になりますよね。
そこから関係するというイメージがでてきます。
また、関係性が一方に傾いていると、依存するという状態になります。
これは何かが乗っかっているイメージですが、視点を変えれば支えるという状態でもあります。
この 2 つのイメージを例文と図で見てみましょう。
7-1. He is reading a book on medicine. 「彼は医学書を読んでいる。」
(医学に関する本、専門的なことが書かれているようなイメージ)
7-2. My father had a great impact on my life. 「父は私の人生に大きな影響を与えた。」
(父の存在が私の人生に密接に関わっているイメージ)
8-1. It's on me. 「私がおごるよ。」
(お金の支払いが私の方に寄っているイメージ)
8-2. Whether I go or not depends on the whether. 「行く行かないかは天候次第だ。」
(天気の状態に依存しているイメージ)
さて、これまで見てきたイメージで 、前置詞 on の用法はほぼ説明できると思います。
さらに、このイメージは副詞の on にも適応することができます。(練習問題参照)
ここで一度、まとめておきましょう!
まとめ
on の核イメージは「接触」
・接触には「点接触」と「面接触」がある
・ずっと接触している状態 →「固定」や「連続性」のイメージ
・密に接しているもの → 互いに「影響」したり、「関係性・関連性」が生まれる
・関係性が一方的 →「依存」や「支持」の関係
まとめの文章をみて、それぞれイメージが湧きましたか?
何度も言いますが大事なのはイメージを持つことであって、on には接触や固定、依存の意味がある...と訳の日本語を覚えることではありません。
核となるイメージから膨らませること、その単語が持つイメージが頭に瞬時に浮かんでくることが重要です。
これができれば英語の核を理解できたことになり、英語の理解や使い方がグッと上達しますよ。
ネイティブ感覚を身につけれるように、頑張っていきましょう。
最後に、まとめとして練習問題を載せますので、ぜひ理解度をチェックしてみてください。
《練習問題》以下の文中の on はそれぞれ、どのイメージでしょうか。
(1)Nothing beats a beer on a hot day.
(2)I have to concentrate on my new task.
(3)What's going on?
(4)Could you turn the light on?
(5)He is standing on the edge of the cliff.
(6)A label on the bottle is written in English.
(7)This story is based on the facts.
《練習問題解答》
(1)固定のon(暑い日に限定・特定している)「暑いはビールに限る。」
(2)接触/固定のon(密着/特定)「私は新しい仕事に集中しなければならない。」
(3)連続性のon(副詞、あるまとまった期間のこと)「最近どう?」
(4)点接触/連続のon(副詞)「電気をつけてくれませんか。」
(5)面接触のon「彼は崖の端に立っている。」
(6)面接触のon「ボトルに貼られているラベルは英語表記だ。」
(7)支持のon「この物語はある事実に基づいている。」